ホーム › 気づき / Blog › 全額ローンで買うなら、利回り6〜7%でやっとトントン
|気づき

全額ローンで買うなら、利回り6〜7%でやっとトントン


8月に、ある不動産会社が出している、新築戸建てのシミュレーション動画を見ました。サラリーマンが利回り6.8%、金利2.6%で買って、だいたい10年後にトントンか赤字、という内容。6.8%でトントンなんだ、いまって。そういう時代なんだなと思いました。

じゃあ全額ローンなら、利回りがいくつあればトントンになるんだろう。金利ゼロで考えてから金利をのせると、だいたいの目安が出せます。先に結論を言うと、新築で30〜35年借りられるなら、いまの金利で利回り6〜7%くらいから。トントンというのは、ローンを返し終われば不動産は残るけど、それまで利益は出ないラインのことです。買うか買わないかの話ではありません。

金利ゼロでも、家賃で返す

全額ローンなら、借りるのは物件の値段に初期費用(ここでは8%)をのせた額。持ってからは、経費と空室で家賃の2割くらいは消えます。

1億円の物件なら、借りるのは1億800万円。30年で返すなら、金利ゼロでも1年に360万円です。家賃の2割が消えるので、家賃は1年に450万円要ります。利回りにすると4.5%。式にすると「1.35÷返す年数」です。

そこに金利の8割をのせる

利息は残っている借金にかかるので、返していくうちに減っていきます。利回りに直すと、金利の8割くらいをのせれば、だいたい合います。金利3%・30年なら、4.5%+2.4%で6.9%。きちんと計算すると6.8%。ほぼ同じです。

全額ローンで収支がトントンになる表面利回りの表。金利ゼロなら20年6.8%・25年5.4%・30年4.5%・35年3.9%。金利2.5%なら8.6%・7.3%・6.4%・5.8%。3.0%なら9.0%・7.7%・6.8%・6.2%。3.5%なら9.4%・8.1%・7.3%・6.7%。30〜35年借りられるなら、いまの金利で6〜7%くらいからトントン。

木造とSRCで、借りられる年数が違う

銀行は、建物の構造と築年数を見て、何年まで貸すかを決めることが多いです。中古は耐用年数(木造22年、SRCや鉄筋コンクリートは47年)の残りで見られるので、築15年の木造を10年で返すなら、トントンは15%を超えます。SRCは32年で返せれば、6.6%くらいです。ただ、SRCは経費が重めです。

金利3%・全額ローンで収支がトントンになる表面利回り。新築を30〜35年で返すなら6.2〜6.8%、中古SRC築15年を32年で返すなら6.6%、中古RC築31年を16年で返すなら10.6%、中古木造築15年を10年で返すなら15.6%。いま売りに出ている東京23区の一棟の平均利回りは5.0〜5.5%(健美家 2026年8月期)。

不動産投資と収益物件の情報サイト健美家(けんびや)の2026年8月の集計だと、東京23区の平均は一棟マンションが5.0%、一棟アパートが5.5%。金利は上がってきているのに、利回りはまだまだ低いなと思います。

かなり厳しい試算です

この計算は、税金を引く前のキャッシュフローです。元金の返済は経費にならないので、手取りで見ると、トントンの利回りはもう少し上がります。金利がもっと上がれば、トントンの利回りも上がる。それに、物価が上がるのはもう目に見えているので、修繕費や管理費は上がっていきます。でも、家賃は上げられない。売るときには、また仲介手数料もかかります。

夢はちょっとないように見えますが、それでもローンを返し終われば、売却できる土地が残ります。逆に言うと、土地の持ち分がほとんどない区分所有のワンルームなんかは、かなり厳しいということが分かりますね。

気になる物件があれば、何年借りられるかを確かめて、トントンの利回りを出してから、資料の利回りと比べておいたほうがいいですね。

くわしくは note に書きました。
全額ローンで買うなら、利回り6〜7%は、不動産は残っても利益は出ないライン|note

※一般的な情報です。個別の判断は専門家にご確認ください。

宍倉奎次郎
書いた人宍倉 奎次郎

税理士 / 不動産会社経営(現役大家)。千葉で家業の不動産会社を継ぎ、自社物件の賃貸管理まで自ら行いながら、税理士として実務に携わっています。

事務所について →

ブログの一覧へ

CONSULTATION

相談方法・料金

オンライン相談|60分 11,000円〜(税込)

顧問契約は前提としません。1回ごとの単発相談でお応えします。