これからアパートや貸家を貸すなら、定期契約(定期借家)にしたほうがいいです。
オーナーにとってメリットしかない。
定期契約は、期間が来たら終わる契約です。住み続けたい人とは、あらためて契約を結び直します。これが再契約です。普通の契約は、期間が来ても、貸す側からはなかなか終わらせられません。

普通の契約のままだと、オーナーが困る場面があります。
値上げは、お知らせを出しても借りている人に断られたら、まず裁判所で話し合う調停、それでもまとまらなければ裁判です。話がつくまでは、借りている人は自分が妥当と考える額、ふつうは今までの家賃を払っていればいいんです。定期なら、再契約のときに家賃を決め直せますし、期間中は家賃を変えない、という約束も効きます。
退去は、建て替えたい、売りたい、というときでも、貸す側から更新を断るには、それなりの理由(正当事由)が要ります。立ち退き料は、その理由を補う材料のひとつで、決まった目安もありません。定期なら、建て替えや売る時期に合わせて期間を決められます。
揉め事も、家賃を払わない入居者がいても、普通の契約だと信頼関係が壊れたと言えるときでないと解除できません。定期なら、次の再契約をしなければいいだけです。ただ、期間の途中でやめてもらうときは、定期でも普通と同じ考え方になります。
様々なリスクを考えると、圧倒的に定期が有利です。
管理会社からすると、定期賃貸借は普通賃貸借に比べてめんどくさいことも多いですし、取り扱っていない管理会社さえあるのが現実です。
契約は書面で結び、契約の前に、契約書とは別の紙で「更新はなく、期間が来たら終わる契約です」と説明します。この紙を渡し忘れると、「更新はない」という定めが無効になり、普通の契約と同じ扱いです。最高裁も2012年に、契約書に書くだけでは足りないと判断しています。期間が1年以上なら、満了の1年前から6か月前までのあいだに「終わります」のお知らせも必要で、遅れると、出した日から6か月は終わりを言えません。どちらも再契約のたびに要ります。うちの会社では、期限ぎりぎりにならないよう、満了の8か月前ごろにお知らせを出しています。

しかし、オーナーの目線からすると、圧倒的に定期賃貸借契約の方が有利となっていますので、管理会社に配慮を忘れないようにしつつも、できるだけ早期に定期賃貸借契約にする方向に進んでいきましょう。
ただし、借りる人のほうからは、事情があれば途中で出ていけます。居住用で床面積が200㎡未満なら、転勤や病気の療養、親の介護などで住めなくなったとき、申し入れから1か月で契約を終えられるんです。国土交通省のひな形は、事情がなくても1か月前に言えば解約できる形なので、期間の途中で出られたくないなら、使う前に条文を見ておきましょう。
定期だと空室の募集で不利になるんじゃないか、と思うかもしれませんが、定期で入らない物件は、普通でも入りません。結局は、物件の競争力が大事です。国の調査(2003年)でも、定期借家で契約した人がその契約を選んだ理由は「気に入った物件が定期借家だった」が63.5%でいちばん多い結果でした。
今住んでいる人の契約を途中で定期に切り替えようとしても、結構難しいんです。とくに2000年3月より前から続いている住まいの契約は、お互いが合意しても定期にはできません。なので、今の人にはそのまま住んでもらって、退去のたびに、次に入る人から定期にしていくのがいいと思います。
定期に変更するように、少しずつ進めていきましょう。
くわしくは note に書きました。
※一般的な情報です。個別の判断は専門家にご確認ください。